婦人科

主に女性特有の症状や病気を中心に診療していきます。
そもそも女性の体は繊細なのですが、とくに月経、妊娠、更年期(45~55歳頃)の頃というのは、体が様々に変化していくようになりますので要注意です。なお下腹部が痛む気がする、ふらつくなどの身体症状や、イライラする、気分が落ち込むなどの精神症状などがあるという場合、これを些細なことだと思わないでください。これらの症状が実は心身に重大な影響を及ぼしているということも考えられます。原因がよくわからない体調不良を感じたら一度婦人科をご受診ください。

このような症状がある方は、一度ご受診ください。
  • 月経異常(月経が正常でない状態。月経不順、稀発月経、頻発月経、無月経、過長月経、過多月経、過少月経、過短月経 など)
  • 不正出血(月経以外に性器から出血がみられる)
  • おりものの異常(おりものが無色透明で無臭でない状態)
  • 外陰部の異常(赤く腫れている、痛み、かゆみ、ただれ、しこり などがある)
  • 乳房の異常(しこりや痛みを感じる、乳頭に凹み、皮膚にひきつれや窪みがみられる)
  • 下腹部の痛み(可能性として、子宮や卵巣の病気の場合もある) など
婦人科の診療内容について

以下の疾患以外であっても、いつもと状態が異なる場合は、遠慮なくご受診ください。

月経不順

満18歳以上で初経をみない場合を原発性無月経、満15歳から18歳の間に初経をみた場合を遅発性無月経といいます。
通常であれば月経周期というのは、25~38日に1回の割合で来るとされていますが、月経周期が25日よりも短い(頻発月経)、39日以上かかって発来(希発月経)している、あるいは通常の月経周期内であっても前回は26日、今回は33日の周期など各月の差が6日以上あるという場合も含まれます。原因としては、疲労やストレスなどを引き金としたホルモンバランスの乱れをはじめ、急激な体重の増減、服用している薬が影響していることもあります。

無排卵症

月経時に出血はみられるものの排卵が伴っていない状態を無排卵症と言います。多くの場合、無排卵を自覚することはありません。よくみられる症状は、月経異常(頻発月経、希発月経、過多月経、過長月経、過少月経、過短月経)、不正出血、不妊などです。発症の原因としては、過剰なストレス、無理なダイエット、喫煙、激しい運動、不規則な生活習慣のほか、多嚢胞性卵巣症候群、服用薬(抗うつ薬 など)の影響などが挙げられます。
また、月経が毎月あるからといって、排卵が毎月あるとは限りませんので、妊娠のご希望がある方で、なかなか妊娠しない人は、是非、当院へ診療にいらしてください。

他に卵巣機能が発達途上の思春期や卵巣機能が低下していく更年期の世代でも無排卵月経がよくみられます(生理的無排卵)。
お身体のことでご心配な方は、何でも遠慮なくご相談ください。

避妊法

避妊法とは、望まない妊娠を避けるための方法のことを言います。避妊法の種類としては、以下のようなものがあります。

不妊手術
手術療法によって、避妊を確実に避ける方法になります。男性の場合は精管を結紮または切断をします。女性であれば、卵管を結紮または切断していきます。妊娠率は男性では0.01~0.1%、女性は0.5%です。
経口避妊薬(OC)
女性の卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンが主成分の錠剤で、毎日1錠ずつ正しく服用することで確実に避妊効果が現れるようになります。妊娠率は0.3%です。
子宮内避妊具(IUD)、子宮内避妊システム(IUS)
子宮内に特殊な器具を挿入することで、子宮内膜に受精卵が着床しにくくなるとされる避妊法です。挿入については医師が行います。妊娠率はIUDが0.6%、IUSが0.1%です。なお器具を取り除けば妊孕性は回復します。
コンドーム
男性の勃起した陰茎に被せる避妊具で、装着することで膣内の精液流入を防ぐことができるようになります。妊娠率は2%です。この場合、性感染症の予防にもなります。日本で最も一般的な避妊方法です。
リズム法(周期的禁欲法)
妊娠の可能性が高いとされる排卵期を予測し、その時期を避けて性交をしていくという避妊法になります。薬剤などは使用しません。なおリズム法には、基礎体温法(基礎体温を測定して排卵期を予測する)や頸管粘液法(排卵日が近いと粘液が長く糸を引いて、伸びる)があります。ただこの場合は、月経周期が規則正しく発来することが条件で、排卵日を正確に把握するのは困難なので、避妊効果は上記の避妊方法よりも劣ります。

子宮筋腫

子宮の筋肉の層から発生する良性の腫瘍(筋腫)になります。30~40代の女性に発症しやすいと言われています。なお腫瘍の増大については、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが関係しているとされていますが、良性であることから発見したらすぐ治療というわけでもありません。ちなみに腫瘍は、単発なこともあれば複数以上発生することもあり、大きさもいろいろですが、悪性化する可能性は非常に稀とされています。

発症しても人によっては無症状に経過することもありますが、症状がある場合は、下腹部痛や月経痛のほか、経血の量も多くなることから貧血も見受けられるようになります。また筋腫が大きくなって周辺の臓器を圧迫するようになると排尿・排便障害、腰痛なども起きるようになります。

なお子宮筋腫は発生する場所によって3つのタイプに分類されます。最も患者数が多いのが筋層内筋腫(全子宮筋腫患者の7割程度)で、これは子宮筋層内に発生し、多発しやすいです。この場合は、子宮内膜症や子宮腺筋症も併発しやすいと言われています。このほかには、子宮漿膜の真下に筋腫が発生する漿膜下筋腫(無症状のことが多い)、子宮内膜直下に筋腫が発生する粘膜下筋腫(強い症状が出やすく、小さいものでも過多月経が起きやすい)があります。いずれにしても日常生活に支障をきたすのであれば、筋腫温存療法あるいは、手術療法などが検討されます。

子宮内検査

子宮内検査

子宮内を調べる検査には、内診、経膣超音波検査、子宮頸がん検査、子宮体がん検査などがあります。
子宮頸がん検査、子宮体がん検査につきましては、横浜市検診のページをご参照ください。

内診

被検者(検査を受けられる方)が内診台の上に乗ります。検査する医師が膣の中に指を入れ、もう一方の手の指をお腹の上から当てることで、子宮や卵巣の大きさや形、痛みなどを調べていく検査方法になります。

経膣超音波検査

超音波検査装置のプローブ(探触子)に使い捨てキャップをかぶせて膣内へ挿入し、超音波を発信します。これによって返ってくる反射波(エコー)をキャッチして、同装置でコンピュータ解析を行うことで、子宮や卵巣が画像化され、内部の様子を確認することができます。同検査で、子宮の位置、子宮内膜の状態や子宮筋腫の有無や大きさ、腫瘍(ポリープ)の有無などが確認できます。

月経痛の軽減療法

月経に関係する症状というのは個人差ありますが、日常生活に支障をきたすほどひどい場合に月経困難症あるいは月経前症候群(PMS)と診断されます。月経困難症とは、とてもひどい月経痛のことで、下腹部痛、腰痛、肩こり、全身の倦怠感、腹部膨満感、頭痛、イライラ、吐き気、便秘、下痢などの症状が月経に伴って起きるようになります。また月経前症候群は、月経が始まる3~10日前から、身体(下腹部痛、むくみ、肩こり、冷え、肌荒れ、便秘、下痢 等)および精神(イライラ、集中力の低下、気分が落ち込む、無気力 等)などに何らかの不快な症状が生じるようになります。ただ月経が開始されると同時にそれらの症状は軽減されるようになります。なお、こころの症状が強く出ている場合は、月経前不快気分障害(PMDD)と診断されます。なおPMSとPMDDについては月経の発来によって、痛みの症状は軽減するようになります。

月経に関する痛みを軽減したい場合に用いられる治療法ですが、何らかの婦人科疾患とは関係のない月経困難症であれば、痛みを緩和させるための薬物療法として、鎮痛薬や低用量ピルを使用していきます。また漢方薬は、血行が良くなる効果があって痛みを緩和させることもあることから、体質を改善させる方法として用いることもあります。また何らかの婦人科疾患(子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫)によって、月経困難症が起きるケースもあります。この場合は原因疾患の治療を行っていきます。