ピル外来

当院では、計画的に避妊を行いたい、無防備なセックスをしてしまったという場合、あるいは旅行やブライダルといったイベント、受験や大事な試合の日は月経を避けたいのでそれら予定日の前後にずらしたいと希望される方にピル処方をいたします。主に低用量ピル、アフターピル、中容量ピル(月経移動)になります。
尚、ピル処方の際に、高血圧症、喫煙(1日15本以上)、肥満(BMI:30以上)、年齢(40歳以上)の方では、慎重に投与や投与禁忌の対象となりますので、患者様とご相談させていただきます。

当院取り扱いピルの種類

低用量ピル

低用量とはピルに含まれているホルモンの量が少ないという意味です。ピルとは、2つの女性ホルモン(プロゲステロンとエストロゲン)が配合された経口避妊薬です。ホルモンの量が多いと血栓症のリスクなど副作用が起きる可能性が高くなるわけですが、その後低用量であっても避妊効果が変わらないことが判明してからは、計画的な避妊を行う方法として低用量ピル(OC)が主流となりました。

これは毎日一錠ずつ服用することで確実に避妊効果(排卵が抑制され、受精卵が着床しづらくなる)が得られるようになります。女性主体で避妊が行えるのも利点です。また避妊効果以外にも副効用として、子宮内膜症や月経困難症による症状の軽減、子宮体がん、卵巣がん、線維腺腫(乳房にしこりができる病気)の発症リスクを下げることから、これらを目的として使用するケースもあります。

なお服用による副作用ですが、飲み始めの2週間ほどの期間で不正出血、悪心・嘔吐などがみられるほか、血栓症や心筋梗塞、長期に渡る服用で子宮頸がんなどの発症リスクが上昇するようになります。

緊急避妊ピル(アフターピル)

避妊に失敗(コンドームが破れるなど)、あるいは無防備な性交をしてしまったという場合に緊急的に処方されるのが緊急避妊ピル、アフターピルです。これは避妊ができなかったとされる性交から72時間以内に処方する必要があります。当院ではレボノルゲストレル(ノルレボ錠)1錠になります。

なお緊急避妊ピルは正しく服用したとしても100%妊娠を阻止できるということはありません。妊娠阻止率は84%程度と言われています。また避妊の有無については、すぐに判定できることはなく、月経予定日に月経が発来するかどうかでわかります。そのため月経予定日を1週間過ぎても発来しない場合は、再度ご受診ください。

副作用に関しては、これまでに重篤な症状がみられたということはなく、頭痛、吐き気、不正出血、倦怠感などは報告されています。ただ、低用量ピルのように飲み続けることはないのでいずれも一過性のものです。ちなみに緊急避妊ピルを処方したものの妊娠が成立し、出産したというケースもあります。その際に胎児や赤ちゃんが何かしらの影響を受けたという報告は現時点ではありません。

月経移動(中容量ピル)

中容量ピルは低用量ピルよりもエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)の含有量が多いとされているもので、かつては避妊目的で使用されていましたが、当院では月経移動を希望される方に処方をいたします。なお低用量ピルも月経移動で用いられることはあります。

旅行やブライダルといった大切なイベント、受験や大事な試合など人生の転機といった際は、できるだけ不安なことは避けたいと考えていることでしょう。例えば、その日や期間に月経を回避できただけでも心配事はひとつ減ることになって、大好きなことや人生の節目により集中できるようになります。そのためには、月経を早めるか、遅くさせる必要があります。その方法とは次の通りです。

月経日程コントロールする場合

月経を早めたい 月経開始後5日目までにピルを服用しなくてはなりません。そして早めたいとされる日の2~3日前まで中容量ピルを毎日1錠飲み続けていきます。服用を止めた日から2~3日後には通常よりも少ない経血の月経がみられるようになります。この場合は、月経を移動させたい周期のひとつ前の月経が発来する前に当院にてご相談ください。
月経を遅らせたい 月経が始まるとされる5日ほど前から中容量ピルを毎日1錠服用していき、月経を避けたいとされる日まで飲み続けます(服用中に月経が発来することはありません)。服用を止めた2~3日後に月経が来るようになります。

副作用について

低用量ピルと同様に悪心・吐き気、頭痛、血栓症の発症リスクなどが考えられ、低用量ピル(OC)よりもエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンが多く含まれているので、OCよりも症状が強く出ることがあります。このことから、場合によっては低用量ピルで月経移動を行うというケースもあります。