妊娠を望む男女のパートナーが避妊をせずに定期的に性交を行っているものの、一定期間妊娠をしていない状態を不妊と言います。日本産科婦人科学会によれば、その期間を1年間と定義しています。このような状況にあるという場合、一度お二人でご来院ください。
不妊に関しては、その原因が男性にあるとされる男性不妊と女性にあるとされる女性不妊、もしくはその両方に原因があるわけですが、その確率というのは男女半々と考えられています。そのため、不妊の原因を探るには、どちらか一方ではなく、お互いが検査や治療を受ける必要があります。
不妊症一般検査
女性に行う不妊症一般検査
超音波検査 | 超音波装置のプローブ(探触子)を膣内に挿入し(経膣超音波検査)、超音波を発信することで、子宮や卵巣の様子を画像で確認することができるようになります。これによって、不妊の原因とされる病変(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、ポリープ 等)などを調べていきます。 |
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血液(ホルモン)検査 | 血液中に含まれるとされるホルモンの量を調べることで、妊娠しにくくなる排卵障害の原因が判明するようになります。 |
ヒューナーテスト | 排卵期とされる期間に性交を行い、その後数時間から一両日中の間に女性の子宮の出口から頸管粘液を採取していきます。頸管粘液中に精子がなければ異常(無精子症や抗精子抗体、子宮頸管炎などの可能性が高い)と判断され、自然妊娠は期待できなくなります。 |
男性に行う不妊症一般検査
精液検査 | 三日程度の禁欲生活の後、マスターベーションによって精液を採取します。精液中に含まれる精子の濃度や精子の運動率、あるいは精子形態を調べることで異常の有無を判定します。乏精子症や無精子症の診断をつけることもできます。 |
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不妊治療について
上記のような検査を行い、原因が特定できないという場合は、タイミング療法が行われます。原因が判明していれば、原因に対する治療を行いながらのタイミング療法となります。これを半年以上行っても効果が出ないという場合は、人工授精を行っていきます。
タイミング療法
排卵日を予測して、その日に性交を行うことで、できるだけ(自然)妊娠の確率を上げていく方法となります。この場合、排卵日が近いとされる日にご受診いただき、経膣超音波検査による卵胞の測定、採尿によって黄体形成ホルモン(LH)の数値を調べるなどすることで排卵日を予測し、その1日の中でも妊娠率が高くなる時間帯のおおよそについてもアドバイスします。また、自然周期のタイミングでは妊娠がなかなか成立しない場合は、排卵誘発剤を使用したタイミング療法を行い、これによって複数の卵子を排卵させ、受精率を向上させるようにしていきます。
人工授精(AIH)
タイミング療法と同様に排卵日を予測し、予測日とされる日に男性の精子を採取し、これを院内にて液化させ、さらに洗浄や濃縮をしていきます。その後、カテーテルを女性の膣内に挿入し、子宮腔に精子を注入していきます(注入後は10分程度休みます)。挿入時に痛みなどが現れることはなく、その後の過程については自然妊娠と同様です。また、妊娠率を上げたい場合は排卵誘発剤を用いることもあります。
上記の方法を5回以上行っても妊娠が成立しないという場合は、体外受精など別の不妊治療が検討されるようになります。